ボウドリル 其之壱
Making fire with a Bow Drill

いわゆる「弓錐式」と呼ばれる火起こし。
いわゆる「弓錐式」と呼ばれる火起こし。
■まず最初は必要な物を。
1. 弓(Bow)
弓は錐(きり)となる木の棒を回転させる為の物。
曲がった木の枝に弦となる紐を結び付けた物だが、弓矢で使う弓の様にしなる必要は無い。
しならない方が弓の動きをダイレクトに錐の回転運動に変えられる。
使用する木の枝は乾燥した物でも生木でも良い。曲がり具合と適度な長さがあれば木である必要も
ないとは思うが、入手や加工の容易さを考えるとやはり木の枝が手頃であると思う。
この弓は全長約40cm太さ2cm強の枯れ枝で、紐は約3mmの物を使用。
もう少し長くても良かったかも知れない。
弦には化学繊維の紐を使ったが、錐が滑りにくいよう天然素材の物の方が良いかも知れない。
弦は緩いと錐を回転させた時に滑ってしまうので、きつく巻ける程度に張る。
錐を先に作っておき、それに合わせて弦の張り具合を加減する方が楽だが、きつめに張っても実際に
錐を回転させてみると弦が少し緩む場合がある。
その場合は後から錐を少し太めの物に作り直すか、弦を少し強めに張り直しても良いが、少しくらいの
弛みなら弓と弦の間に小石や木片を挟んで握れば簡単にテンションを調整する事が出来る。
但し、弦の部分を握らなければならなくなるので、その分ストロークは短くなる。
2. 錐(Drill)
錐に使う木の棒はよく乾燥した物で、板に擦り付けた時に少し削れる程度の軟らかさの物を選ぶ。
板に擦り付ける側を丸く削り、反対側は押さえた時に摩擦が少なくなるよう、接する面積を小さく
鋭角に削ってから先端を丸くする。
実際錐を回転させた時に擦れて丸くなるので、最初から丹念に丸くしておく必要は無い。
この錐は長さ約17cm太さ2cm、弓と同じ枝を使ったが樹種は不明。おそらくマメ科の木。
これもまた、もう少し長くても良かったかも知れない。
3. 錐押さえ(Socket)
錐押さえは手で握り易い大きさの木片で、押さえた時に錐がズレないよう凹みを付ける。
錐を押さえた時に大きく削れてしまわないよう堅めの物で、石や金属など木以外の物でも良いようだ。
この錐押さえの材料は桜の枝で、堅い節の部分で作った。
4. 錐を擦り付ける板(Fire Board)
錐を擦り付ける板はよく乾燥した少し軟らかめの物。錐との摩擦により削れて細かい木屑が
出なければならない。その細かい木屑が摩擦によって発生した熱で炭化・燃焼し火種となる。
使用した物は杉の大貫(貫板)で厚さ五分(約15mm)だが、もう少し厚い物の方が良いかもしれない。
5. 火種受け
弓錐の摩擦によって出来る炭化した細かい木屑(火種)を受け止める為の物。
薄い木の板や木の皮、厚めの葉っぱなど、火種によってすぐ燃えて穴が開かなければ何でも良いと思う。
今回はアジサイの葉を3枚重ねて使った。
6. 火口[ほくち](Tinder)
火口(ほくち)は弓錐の摩擦によって出来た火種を燃え移らせ、炎を立ち上げる為の物。
枯葉や枯草、麻や綿など細かい繊維状の物、あるいはティッシュペーパーなど燃え易い物なら
何でも良いと思うが、特に枯葉や枯草の場合、少しでも水分を含んでいるとなかなか
燃えなかったりするので、よく乾燥した物を選ぶ必要がある。
7. ナイフ
錐を擦り付ける板に凹みと切り欠きを入れる為の物。切れれば何でも良いのでお好みの物で。
今回はモラナイフ(モーラナイフ)の73/164(多分)を使用。
因にこのナイフは子供用ウッドカービングナイフで、全長約170mmでブレードが約77mm。
メインとして使うには少々厳しいかもしれないが、サブとしてちょっとした事になら
結構使えそうな気がする。フィンガーガードが付いているのが少々気に入らないが
子供用ナイフだから仕方がないか・・・。
■次に火を起こす前の下準備。
火種が出来たらすぐに燃え移らせられるよう、前もって火口(ほくち)を用意しておく。
今回はほぐした麻紐と枯れたススキの葉を使用。
束ねただけではススキの葉がバラケてしまうので一端を縛った。
錐の先端が当たるポイントを定める為に、錐を擦り付ける板に軽く凹みを付けておく。
次に、錐で擦った時に出る細かい木屑が散らばる事なく1ヶ所に溜まるよう板に切り欠きを入れる。
最初から切り欠きを入れておくよりも、先に一度板を錐で少し擦り凹みの大きさが明確になって
からの方が、どの程度切り欠きを入れれば良いのか判断し易いかも知れない。
今回はここまで、火起こし作業は次回。
この記事へのコメント
こんばんは~^^
其の壱から非常に興味深く読ませていただきました。
こないだ、金スマかなんかで吉川晃司が無人島で、って企画やってましたがこれを教えてやりたいですねぇ(笑)
まさに火熾しってアウトドアの基本中の基本ですよね。
こういうの知らずにやれこのチャッカマンがどうとか・・・言ってばかりじゃダメですね私^^;
なんか改めて知ったつもりで知らないことを教えて頂きました。
其の壱から非常に興味深く読ませていただきました。
こないだ、金スマかなんかで吉川晃司が無人島で、って企画やってましたがこれを教えてやりたいですねぇ(笑)
まさに火熾しってアウトドアの基本中の基本ですよね。
こういうの知らずにやれこのチャッカマンがどうとか・・・言ってばかりじゃダメですね私^^;
なんか改めて知ったつもりで知らないことを教えて頂きました。
drunkwhaleさん
いやぁ、ライター使うのが普通だと思いますよ。
こういう火起こしはもう趣味の部類で、実用からかけ離れてますからねぇ。
私も普段は便利なガスライター派ですし(笑
ただこういう方法があるというのを知っているのといないのでは
イザという時に差が出るのではないでしょうか。
でも、イザという時っていつ来るんでしょうね?(笑
いやぁ、ライター使うのが普通だと思いますよ。
こういう火起こしはもう趣味の部類で、実用からかけ離れてますからねぇ。
私も普段は便利なガスライター派ですし(笑
ただこういう方法があるというのを知っているのといないのでは
イザという時に差が出るのではないでしょうか。
でも、イザという時っていつ来るんでしょうね?(笑
昔、ボーイスカウトでやりました。
懐かしいです。
かまぼこの板をもってこいって言われたのを思い出します。
火口が凝っててDancinghorseさんらしいです(^^)
懐かしいです。
かまぼこの板をもってこいって言われたのを思い出します。
火口が凝っててDancinghorseさんらしいです(^^)
Takaさん
やっぱりボーイスカウトでもこういうことやるんですか。
今思うと私も子供の時にボーイスカウトに参加しておけば
良かったなぁなんて思ったりします。
でも規律に縛られるのが苦手なんで向いてないかも(笑
やっぱりボーイスカウトでもこういうことやるんですか。
今思うと私も子供の時にボーイスカウトに参加しておけば
良かったなぁなんて思ったりします。
でも規律に縛られるのが苦手なんで向いてないかも(笑
自分はカブスカウトからボーイに入るくらいまでを経験したのですが、楽しかったですよ。
モールス信号とかロープワークとか色々教えてもらいました。
ナイフも初めて使ったのは小学校3年の入隊の時ではないかなぁ
規律はありましたが、基本は子どもたちの自主性が中心だったような気がします。
この頃、見かけるのが少なくなったのが残念です。
モールス信号とかロープワークとか色々教えてもらいました。
ナイフも初めて使ったのは小学校3年の入隊の時ではないかなぁ
規律はありましたが、基本は子どもたちの自主性が中心だったような気がします。
この頃、見かけるのが少なくなったのが残念です。
Takaさん
かなり規律に厳しいという訳ではないのですね。
子供のうちに色々やっておけば良かったですよ、ホント。
特にロープワーク。
たまに本見ながらやってみたりするんですが、その後しばらく
間があいて久しぶりにやろうとするとスッカリ忘れてしまってます。
歳食ってからじゃなかなか身に付かないですねぇ。
> この頃、見かけるのが少なくなったのが残念です。
やっぱり年と共に減ってるんでしょうか。
私が子供の頃は同級生に何人かいましたけどねぇ。
そういやナチュラムブログでもボーイスカウトで指導してらっしゃる方の
ブログがあるようですね。
かなり規律に厳しいという訳ではないのですね。
子供のうちに色々やっておけば良かったですよ、ホント。
特にロープワーク。
たまに本見ながらやってみたりするんですが、その後しばらく
間があいて久しぶりにやろうとするとスッカリ忘れてしまってます。
歳食ってからじゃなかなか身に付かないですねぇ。
> この頃、見かけるのが少なくなったのが残念です。
やっぱり年と共に減ってるんでしょうか。
私が子供の頃は同級生に何人かいましたけどねぇ。
そういやナチュラムブログでもボーイスカウトで指導してらっしゃる方の
ブログがあるようですね。