本来はスウェーデン軍にて使われた軍用品だが、軍から放出され日本のみならず他の国々でも多くが
市場に出回り、野外用炊事道具として一般の人々に愛用されている。
日本では米を炊くのに便利な道具である事と、その見た目から「スウェーデン飯盒」などとも呼ばれ
フルセットの場合【飯盒・風防兼五徳・アルコールストーブ(バーナー)・燃料用ボトル】の4点セット
で売られている。
画像は以下全てクリックで多少大きく表示されます。
元々スウェーデン軍ではスタッキングに適した形状のプラスチックカップや、コフラン社販売で
お馴染みのフォールド-ア-カップの軍用色の物も一緒に支給されるらしい。
飯盒の素材はアルミで、軍用色である濃い緑色に塗装された物と無塗装の物がある。アルミ製以外に
ステンレス製の物も存在するが、日本で売られている物は大抵アルミ製でステンレス製の物は実際
自分の目で現物を見た事はない。
飯盒と蓋、及び風防はアルミ製、持ち手や五徳などのパーツ類がステンレス。蓋は本来の役目以外に
フライパンもしくは浅い鍋として使う事も出来る。
アルコールストーブはトランギア社の物で真鍮製、TR-B25と比べるとタンク部分はかなり大きいが
中央の開口部はTR-B25とほぼ同じ。気化したアルコールが噴出する穴はTR-B25の方が大きく、穴の
数はTR-B25が24個なのに対し付属ストーブが23個と1個少なく中途半端である。
アルコールストーブはトランギア社以外にスヴェア社の物も存在するようだ。
TR-B25の火力調整蓋は付属ストーブに嵌める事は出来るが、目一杯押し込んでしまうと上部の炎を
吹き出す穴の部分を覆ってしまい、被せた蓋の下側から燃料が滲み出し火ダルマになってしまうので
使う場合は軽く乗せるだけにして炎の出口を確保しなければならない。
燃料ボトルはおそらくポリプロピレンで、黄色いラベルには「危険、極めて引火性が高い、メタノール
だから飲むと危険」みたいな事が書いてあるようだ。
スペックはおおよそで以下の通り
全て一度に計ると926g、お世辞にも軽いとは言い難い。
※物によってはディテールが微妙に違うなど、個体差があるらしく全てがこの通りとは限りません。
調理器具として使用する場合は付属の風防とアルコールストーブを使う事は勿論、アルコールストーブの
代わりに固形燃料、形状としては単なる飯盒なのでガスやガソリンストーブに乗せたり、焚火へ直接
掛けたり、その気になれば風防五徳をひっくり返してウッドストーブとしての使用も可能である。
焚火で使う場合、ワイヤーハンドルの他にフックを使って吊り下げる事も出来る。
こんな使い方をしている人も→
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また、蓋をフライパンや鍋として単体で使う場合、ハンドルに付いた2つのDリングを起こし、そこへ
木の棒などを差し込んでハンドルを延長する事が可能。
ハンドルが変色しているのは付属の風防五徳を使って炊飯する際、ハンドルを本体にロックすると
アルコールストーブの炎によって真っ赤になるほど熱せられるためであり、使用する場合は他の飯盒
同様、革手袋や軍手を使うなど熱対策が必須。
スウェーデン飯盒では付属ストーブ使用でしか炊飯したことがないが、割と簡単に炊ける部類の道具で
あると思う。いつもの手順としては、研いだ米1合に対し水200ml+α(毎回適当約220ml〜240ml)で
最低でも約30分は水に浸けてからストーブ点火。グツグツという沸騰の音からクツクツという静かな
音に変わり香ばしい匂いがしてきたら一度蓋を開けて炊け具合を確認。硬いようなら少し水を足し
水分が多いようなら蓋をしてそのまま更に少し火にかけ、丁度良いようなら火から下ろし最低でも
10分以上は蒸らす。
実際、他のクッカーで炊く方法と大して変わらず匂いと音など五感を使う部分もあるが、米と水の量が
適切で一度蓋を開けて炊け具合を確認すれば失敗は少ないと思う。他の事に気を取られ何度かコゲ気味
になったこともあるが、黒くコゲ付いて落とすのが大変というほどではなかった。
よくまぁ、2合も食ってたもんだ・・・
アルコールの量を上手く調節すれば「燃料が燃え尽きた時点で炊飯完了」なんてことも出来そうだが
使用条件によりアルコールの必要量は多少変わるであろうし、食後のお茶用に湯を湧かす事も考えれば
自分には必要無い技かなと思い試してはいない。これまで炊いた量は最高2合なので最高で何合炊ける
かは未確認。まぁ、3合ぐらいまでならなんとか上手く炊けるか?
スウェーデン飯盒の使い道は、ただ米を炊くだけに留まらない。
普通の兵式飯盒同様、インスタントラーメンを作ったり乾麺やパスタ類を茹でたり、レトルトカレーと
パック御飯の同時温めは勿論の事、米を炊いたり何かを煮ながら湯煎で缶詰やレトルト食品を温めたり
と、食事のメニューや調理する順番によって、あるいは他のクッカーとの組み合わせなど様々な使い方が
可能であり、それを考えるのも面白かったりする。
また、そこそこの大きさがあるので持ち歩く際、中に何をどのように入れるかもアイデアの発揮しどころ
であり、使う人のアイデア次第でまだまだ可能性は広がる・・・ってちょっと大袈裟か。
いつもはこんなに入れてないが、取り敢えず手持ちの物を適当に詰め込んでみた。これでまだまだ余裕がある。
豪華なメシは無理だが、上手くやれば1食分の食材とそれに必要な道具があらかた収まるだろう。
スウェーデン飯盒の魅力は、軍物であるが故ミリタリー好きのマニア心をくすぐる事や、炊飯の容易さ
アイデア次第で使い方のヴァリエーションが広がる事も然る事ながら、やはり、五徳が一体となった風防と
アルコールストーブが付属されることにより、ひとつのクッキングシステムとして確立されている
ところにあるのではないかと思う。
似たようなクッキングシステムにトランギア社のストームクッカーなどがあるが、それと比べると
遥かに安い金額で入手出来る点も魅力のひとつである。
今回はここまで。
「スウェーデン飯盒 其之弐」へ続く
現在でもスウェーデン飯盒は入手可能。
トランギア アルコールバーナー TR-B25
トランギア マルチフューエルボトル 0.3L、0.5L、1.0Lの3種類
Trangia(トランギア) ケトル 0.6 L、0.9 L、 1.4 Lの3種類
ホントはこれも欲しいんだけど・・・
トランギア ストームクッカー
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