空の機嫌と休みのタイミング 其之弐
ここへ向かう途中食材を買って来なかったので、車で買い出しに向かう。
またしても何を食うか迷い、スーパーの店内をあっちこっちウロウロ。
で、結局前回と一緒で肉を焼く事に。
迷ったら肉、考えるのが面倒なら肉。今後、毎回肉になりそうな不安。
キャンプ場へ戻って来るともうすっかり陽は落ちてしまった。しかしまだ飯には早い。
普段本など読まないが、この日の為にと買っておいた本をランタンの灯りを頼りに読む。
郷土を愛した東北の詩人。
旧仮名遣いと古い漢字に苦戦しているうちに辺りが濃い闇に包まれてくる。
読み耽っていると突然「ジャポッ」と魚が水面を跳ねる音。身体がビクッと反応してしまう。
時折すぐ傍の鉄橋を渡る列車のけたたましい音。
田舎の単線、せいぜい2両か3両編成なので音はすぐ消え去ってしまう。風情の範囲。
そろそろ腹が減ったなと晩飯の準備。北欧の飯盒で米を炊く間に炭を熾す。
前回より少し炭が太いせいか着火しにくい。仕方なしにトーチバーナーで炙る。
飯盒の蓋を開け炊け具合を確認、まだちょっと水分が多いかな。暫し待ってバーナーから下ろす。
肉を焼き始める。前回よりは安い肉、しかし今回は牛タンもある。
蒸らした米を茶碗によそうと、飯盒の底の方が少し硬くコゲがちょっと多い。
「ああ、やってしまった」 でも食える程度。
肉を口の中に放り込み、すかさず米を頬張る。「ああ、ハーモニー!」
焼肉で肉ばかり食う奴は信用出来ない。米とオカズ、これこそ日本人の幸福。
腹が苦しくなるまで食ったら、次は前回出来なかった焚き火だ。
つづく
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