雪の虜【前編】

Dancinghorse

2018年05月06日 20:40



まだ雪が恋しかった。


テント泊もしたかった。
そんな欲望を満たしてくれる素敵な場所は何処かと考えたら
自分的にはもう此処しかないだろうと、すぐに答えが出た。














やって来たのは鳩待峠。

残雪の尾瀬でハイク&キャンプだ。
以前から残雪期の尾瀬に行ってみたいと思っていた。

通常であれば一方通行、上りでしか通れない至仏山頂〜山ノ鼻間が
この時期限定で下りでも通れる。
足腰に不安のある身としては、これまで登山を避けて来たが
どうせならこの際と、至仏山頂経由で行く計画だ。







登山カード記入・投函、アイゼンを装着し
期待感にワクワクしながら登り始める。
そこらじゅうに足跡が残されてるが
所々に目印の赤いリボンが結び付けてあるし
登山客も多いので道迷いする心配もないだろう。
山頂からの眺めが楽しみだ。







しかし、そんなワクワクも登り始めたったの5分で消え去ってしまった。



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荷が重い。
暑い。
歩が進まない。

至仏山頂経由コースにしたことを少し後悔した。
鳩待峠に引き返し、そのまま山ノ鼻へ下りようかとも思った。







天泊装備を詰め込んだザックはこれまで尾瀬に来た時と
大して変わらない重さだが、果たしてその重さを担いで山に登れるのか?
という不安は確かにあった。

天気の良い日を選んで来た訳だが、思ったより暑い。
Tシャツ1枚になって登る人も居るくらい暑い時もあるのは
事前に調べて分かっていたが、それでも想像していたより暑い。

いくらアイゼンを装着しているとは言え腐れ雪、踏み出した足が
ズルッと滑る事の多いこと多いこと。
担いだ荷の重さがその回数を更に増やしている。







鈍りきった肉体でも休みながらゆっくり歩けば行けると判断。
頻繁に歩を止め水を飲み汗を拭き、ゆっくりゆっくり超鈍足で先へ進む。







少し進んだだけで脚がパンパンになる。
膝は全然平気だが脚の付け根が痛み出す。
衰えを実感する。
もう何人に追い抜かれたか分からない。
ここまで遅い登山者は俺の他に居ないだろう。








小至仏山をトラバース中、来た道を振り返る。







トレースは人間1人通れるくらいの幅しかない。
人と擦れ違うにはトレースを外れて避ける必要がある。
ゆっくりペースなので自分が山側に避けて待つことの方が多かったが
重いザックのせいでフラついて、バランスを崩してコケないか
ちょっと心配だった。
写真で見る以上に斜度がある感じなので、コケたらかなり下まで
滑落するんじゃないかと。

12時もとっくに過ぎたのでこの辺で暫し昼休憩。







昼飯食ってまた歩き出し、やっと登り切った!と思ったら頂上はまだ先。
偽ピークというものがあるのは事前に調べて分かってたけど
登りの辛さですっかり忘れてた・・・。








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落ちたら死ぬね・・・多分。







偽ピークから雪のない夏道を通り、やっとのことで本物の頂上に到着。







快晴のお陰で眺望バッチリ。
でも強烈な紫外線で顔がヒリヒリ痛い。
日焼け止め持って来るかどうか迷ったが持って来なかったのは失敗だ。







燧ケ岳の南側と尾瀬ヶ原はかなり雪融けが進んでる。
例年に比べ今年は早いらしいが、一昨年程ではないらしい。







昼もとっくに過ぎてたので山頂は混雑することもなく
あちこち眺めながら写真撮ったりして
30分くらいは居ただろうか。

あとは山ノ鼻まで下るだけ・・・





つづく







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