木匙

Dancinghorse

2010年05月23日 20:00

 
「匙」とはスプーンのこと。


自分が子供だった頃はスプーンを「匙」と呼ぶ人がまだ周りにいたけど、最近ではもうそんな人も
すっかりいなくなってしまった。
「匙を投げる」という言い回しや、「砂糖ひとさじ」などという言い方は現役なので理解出来ても
「そこの匙取ってちょうだい」なんて言われたら「えっ、何?」なんて事になってしまうかもしれない。
「匙」という呼び方は和が感じられ、何となく可愛らしい印象もあって好きな言葉なんだけど
スプーンという外来語が定着してしまった以上、廃れ行くのは仕方がない事なのかもしれない。



以前作った木製のスポーク
 

暇潰しの手遊びで作った物だけど、杉材ゆえに柔らか過ぎる上、建築端材なので薬剤処理されている
可能性も考えられ、実用には向かず単なるオブジェとして終わってしまった。
どうせ作るなら実際に使える物をということで、今回木製スポークの第二弾。


材料は以前焚火の薪として入手した桜の残り。
ケヤキやカエデほどじゃないけどそれなりの堅さがあり、ネットで調べてみてもカトラリーへの
使用に問題は無いようだ。
まずは直径40mm程の枝を斧で2つに割った後、長さ約180mmにカット。

 これは2つ割にして使わなかった方の片割れ
 

本来ならば作りたい物のおおよその形を材に書き込み、余分な部分を鋸などで切り落とすと
削る手間がその分少なく済むんだけど、どうせ暇なんでこの状態から小刀で削り出すことにした。
この手の作業は飯を食うのも忘れて熱中してしまう傾向があるんで、数日掛けて作ったにも関わらず
途中経過を記録するのをスッカリ忘れてしまってた。
ということでイキナリほぼ完成画像。


 

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今回は実用目的なので、細かい部分までライトマイファイヤー・スポークに似せる事は出来なかった。
ナイフとして使用するギザギザ部分は省略、強度を考えて厚みも程々に。

今回、削りに使用した刃物は全て昔ながらの和式の物。

 

大まかな形を出すのに使ったのは横手小刀。

 

これは中学生の時に買った物でブレード135mm、スウェーデン鋼で龍馬という銘が入っている。
この手の刃物は「切り出しナイフ」と呼ぶ物だと思っていたが、正確には横手小刀と呼ぶのだそうだ。
切り出しナイフとは木製の柄が付いておらず、例えて言うならハンドルを外したフルタングナイフの
ように、刃から握りまで1本の鋼材で出来た物を言うらしい。

大まかな形から最終的な形まで削り込むのに使ったのが小型で細身の横手小刀。

 

ブレード60mmで、これは近年買った物。
短く持った材料を手前に引いて削るような場合は、ハンドルのすぐ手前(ブレードの根元)まで刃が
付いている物が有効。また、細身なので内側に凹んだカーブを削り出すのに便利。

スプーンの食べ物をすくい取る部分の凹みは彫刻刀の先曲丸刀でえぐり、フォークの櫛形の部分は
鋸で切れ目を入れてから切り出し型の彫刻刀で形を整えた。

 

今回ログナイフやモラナイフは一切使わなかった。その理由は桜という材料の堅さ。
堅いと削り難いので使い慣れていない刃物だと怪我をし易い。その上、ログナイフやモラナイフだと
ブレードが薄いので、左手の親指でブレードの背を押すような削り方をするとすぐに指が痛くなる。
という事で使い慣れた横手小刀を使った。





実を言うと刃物が色々と増えてるんで、アレコレ使ってみたいとは思ってるんだけど・・・。

 これらの御紹介は別の機会にでも
 


現時点でペーパー掛けまでは済んでるので、この後表面保護の為に何か塗れば完成なんだけど
「何を塗ったら良いのか」で迷っている。
調べてみると、食器として使用する物に使っても大丈夫な合成樹脂塗料があるらしいけど
やっぱり口に入る物なのでそういう塗料は何となく気分が良くない。
それ以外では亜麻仁油・エゴマ油・クルミ油など、天然の素材から抽出した油がある。
これらは乾性油と言って、塗った後空気に触れると徐々に固まって乾いたような状態になる油なので
木製品への塗布にも向いているようだ。
塗料として売ってる物には混ぜ物が入ってる物もあるかも知れないが、食用なら嫌な気もしない。

となると、必然的に後者の「亜麻仁油・エゴマ油・クルミ油」になるんだけど、この3つの内の
どれにすればいいのやら。
最終的には好みの問題なのかなぁ?






木製スプーンを作るなら、最低でも刃物3種ぐらいは必要かも?
 

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